いかに教材を精選し、スピードアップするか。

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日本史の授業をいかに精選、スピードアップするか。

日本史Bで4単位、日本史Aでは2単位しかないという現実の中で、大切なことは、いかに教材を精選してスピードアップを図るかということです。
ここでは、私の乏しい体験からそのやり方を紹介したいと思います。
スピードアップには、いろいろな方法があります。
一つは、いくつかの分野をカットすることです。
よく犠牲にされるのが、江戸期の文化や経済」。というか江戸時代そのもの。「明治以降の近代文化」。
江戸時代が犠牲になるのは、「江戸時代を細かくやるか、江戸を犠牲にして幕末や明治以降を少しでもやるのか」という究極の選択の結果。
昨年度の日本史Bでの私の選択もそうでしたから。
多くの先生がこういうやり方をするので、逆に、大学入試でこういった分野が狙って出題されるという逆説が生まれます。やっていないから点数がとれない。だから平均点が下がる。
でも、こういったカットは、教師の価値観に基づいて意図的にやるのだから仕方がないともいえるかもしれません。「積極的カット」です。
他方、カットする気でなくとも、時間不足でカットされる「消極的カット」が実際。その犠牲者が近現代史。とくに戦後史、これが現実。
 よくいわれる「日本人は、戦前、自分たちがやってきたことを知らない」と批判される背景です。これは別のところで触れましたので省略します。
授業で、思いのほか時間をとられるのが、板書です。
まず黒板に書くために時間がかかり、生徒が写すのを待つ。
写すのが遅い生徒がいるのですよ…。
ある程度、細かいことを触れなければと思うと、どれだけのことを板書しなければならないか、頭が痛くなります。
項目だけを書くと、名前だけしか覚えない。
説明も板書すると、膨大な量となり、時間がかかる。
終わってみると、これだけしか進まなかったという自己嫌悪に陥る。
教える側でも、簡単な板書にしすぎると、「この内容、試験に出して大丈夫かな、生徒は書いていないことはやらないから」と
不安となる。
そこで多くの先生が使うのがプリントです。
プリントは、資料的に使う場合と、穴埋めとして使うやり方がありますが、
資料に使う形では、もっと時間がかかってしまうのでおいておいて。
私が数年前まで多用していたのは、穴埋めプリントでした。
板書する内容を、プリントし、必要語句のみを板書する。必要事項はプリントに書いてあるので、ポイントを言い忘れることはないので、出題するとき安心。
板書を少なくできるので、スピードアップできる。
確かにこれは、スピードアップになりました。
しかし、ノート(プリント)提出させると、多くの生徒がプリントの空欄に赤字で答えを書いているだけでした。
生徒はあまり考えようとしなかったし、エピソードを話したりしても、あまりメモもとらなかったようでした。
教えたい内容は、きっちりとまとめたつもりでも、生徒には穴埋めの単語のみが必要で、説明をした部分などは、大切でないと思うようでした。
行き詰まり感も出てきました。
そうしたなか、であったのが旺文社の問題集「教科書よりやさしい日本史ノートでした。
このノートは、名前の通り、日本史の知識が未定着の生徒向けで、小中学校でも習ったような内容もふれてあり、簡単な文章での説明があり、そこに穴埋めがある。
「これがなんで空欄になっていないの?」というものが多いくらいがちょうど良かったのかもしれません。
そして、各項目がちょうど一時間ぐらいずつでまとめられていました。
なんといっても教科書よりもやさしい内容で、生徒にも理解できる記述であるのがありがたかったです。入試に対応する工夫も若干は隠してありましたが…。
これを使ってやれということで、この問題集を参考に、プリントを作り、毎回配布しました
B5の用紙に印刷するのですが、、まわりを少し広めにカットするという一手間をしました。
そして、ノートの左側に貼らせ、ノートの右側に板書事項や説明事項を記入するように指示しました。実際には  右側の事項が多すぎて、よくブーイングをうけましたが。
こうすることで、板書は項目程度の最低限度で済みますし、多少説明が雑でも、言い忘れても、プリントにのっているので安心です。時間がなければ「プリントにアンダーラインを引け」で通用します。
しかし、最もありがたかったのは、この問題集程度で授業すれば良い、というペースメーカーとしての役割でした。
教えた方がいいか、やめようかと迷っているときは、「この問題集にでてないからまあいいか」という具合で。でも、もちろんのっていなくとも、自分で大切だと思うところは時間を掛けて。この問題集程度の内容では不十分と思うところは、より詳細な内容にして。逆に時間がないときや重視していない内容は数回分をまとめてしまうなど。
「こんな問題集に頼るなんて怠慢だ」という声は当然だと思います。
でも、「あれも教えたい、これも教えたい」という私の欲望を止めるには、ちょうど良いツールであったことは間違いなかったと思います。
ここ数年は、このやり方で授業をすすめるようにしました。
本来なら、授業計画をしっかり立て、こんなものに頼らないほうが良いとは思いますが、
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